<響く、つながる、みんなの想い。>
2012年3月23日(木)10:00/福島市音楽堂
上の写真は音楽堂のお隣りにある酒屋で稲荷屋さん。福島で大阪弁を喋る僕を、あなた関西から来たのでしょうと見破った奥様は、京都のご出身だそうだ。このお店を一見した処、単なる町場の酒屋さんだが、実はシングル・モルトの品揃えでは全国有数なそうな。しかし、こんなお店が音楽堂の傍にあるとは、今まで全く気付かなかった。ご主人に何でシングル・モルトなんですか?とお尋ねすると、私が好きだからと云うシンプルなお答えだった。でも、幾ら好きでも売れないと続かないでしょうと言うと、ご主人は良く売れます!と力強く仰った。その節は本当に失礼を申し上げました。
青森県立八戸東高校音楽部(女声16名)
指揮/上村祐子
ヴィクトリア「Natus est nobis 我等に産まれし」
Ulo Vinter:Kellad
Gustav Emesaks:Sireli,kas mul onne
息漏れの聴こえる発声は気になるが、祝祭的で華やかなヴィクトリアの演奏。他の曲も軽快なリズムで、柔らかいハーモニーも心地良く、音楽作りに自発性がある。三曲共に音域的に無理のない選曲で、的確にデュナーミクの起伏を捉え、曲に含まれる情感を引き出した。
岩手県立盛岡第一高校音楽部(混声16名)
ピアノ/阿部ゆり子
ジョン・ラター「When daisies pied 春」
Frank Ticheli:Earth song
黒人霊歌「Wade in de water 浅瀬を渡れ」
アップ・テンポでポップス調の曲には伴奏も入り、聴いていて縦横の揃っているのか良く分からなかった。テンポの遅い二曲目はバスの低音を効かせ、厚味のあるハーモニーでキチンとハモらせるが、もう少し何か工夫しないと面白くない。最後のニグロはノリも良く、音色も整って綺麗で、僕はこれだけ気に入った。
秋田県立湯沢高校音楽部(女声6名)
パレストリーナ「Jesu rex admirabilis 賛美すべき王者キリスト」
ヤーコブ・ガルス「Haec est dies この日こそ」
二曲ともホモフォニックな曲なのを、やや肩透かしに感じる。美しいハーモニーはあるが、声を出すと真っ直ぐそのままなのと、拍節を揃えるクセもあるので、もっとレガートを意識して欲しい。
山形県立鶴岡南高校音楽部 Undecided(混声16名)
指揮/阿部隆幸
ジョン・ベネット「Weep,O mine eyes 涙せよ我が瞳」
モーリー「Fyer,fyer! 燃える我が心」
ベネットは情感タップリだがハーモニーに溺れ、ポリフォニックな線は今ひとつ出て来ない。モーリーはマドリガルの様式を的確に把握し、ポリフォニックな構造を明瞭に聴かせる。ただ、この曲は更に速いテンポが望ましく、テノールの生な声も気になるので、カウンター・テナーの起用も検討したい。もう一曲やる時間の余裕はあったので、この先生の指揮するマドリガルを、もっと聴かせて欲しかった。
宮城県古川黎明高校コーラス部(女声13名)
指揮/佐藤亮
Levente Gyongyosi:Cantate Domino
大田桜子「虹の輪の花」
ノリを大事にしてリズミカルな宗教曲を取り上げたが、その代わり少人数の音色の良さは犠牲になるので、両者のバランスを追及したい。大人数指向の邦人曲を13名でこなす、その技術力は評価するが、一音一音を押し過ぎで表現の生になるので、もっとレガートなフレージングを作りたかった。
八千代松陰高校合唱部 Zephyr(混声16名)
指揮/藤平華子
Eric Whitacre:I will wade out/Hope,faith,life,love/With a lily in your hand
メンバーの舞台上に広がる配置は、音像に広がりの出て効果的。無内容な曲でも、ハーモニーの色合いの変化は良く捉えている。ただ、高音部のフォルテに力の入り過ぎで、もっと声をホールに共鳴させるよう意識して欲しかった。
千葉県立船橋高校合唱部(混声16名)
指揮/吉田智恵子
ガストルディ「Amor vittorioso 愛の勝利」
Matti Hyokki:On suuri sun rantas autius
Guido Lopez-Gavilan:El guayaboso
男声六名で演奏するガストルディから、溌剌とした自発性を感じた。他の二曲にも頭声の柔らかいハーモニーがあり、対比の際立たせ方も上手い。最後の曲でカンカンキンキン云うのも面白かったし、曲に即応したリズム感のある、内容を良く咀嚼した演奏で、僕は楽しく聴かせて貰った。
山梨県立市川高校音楽部(女声16名)
指揮/薬袋直哉
ジョルジュ・オルバーン「Ludvercz 鬼火/Hajnalban 夜明けに」
Jenny Wihelms:Hjaoningarima
遅いテンポで粘り過ぎる上、先太りの声の出し方に違和感のあり、もう少しテキパキやって欲しく思う。アンサンブルの目的も、指揮者の意図も今ひとつ不分明で、平板な演奏になってしまった。
長野県伊那弥生ヶ丘高校 Yayoi ensemble ladys(女声11名)
指揮/高橋健美
ラヨシュ・バルドッシュ「Magos a rutafa 大きなルタの樹」
アルトに支えられた力強いハーモニーのあり、人数分以上の迫力はあるが、もう少し抑えたピアニシモも欲しい。音色の変化に乏しいのも、単調さの要因となっている。
浜松市立高校合唱団 Awesome(女声11名)
ヴェルヨ・トルミス「Tuisk 冷気/Kulm ブリザード」
木下牧子「春は来ぬ」(春二題)
トルミスは四曲全部やってナンボの曲と思われ、この二曲だけやっても意図不明となる。その後に木下をやるのも腑に落ちず、一体何をしたいのか、僕には理解不能。高音の伸びない技術的な不足もあって、音楽に工夫と云うものが無かった。
愛知高校女声合唱団(女声16名)
指揮/吉田稔
ヨーゼフ・カライ「Ejszaka 夜」
ド迫力で来る、コッテリ厚塗り厚化粧の音楽作りで、コケ脅しを志向する指揮者に全く共感出来ない。元来が効果のための効果を狙った曲で、もう少しフツーに出来んものかと思う。少人数アンサンブルでは、頭声の美しいハーモニーを基本にすべきと、痛感させられる。
岐阜県立岐阜北高校コーラス部(女声11名)
信長貴富「なみだうた(なみだうた)/村の鍛冶屋(ノスタルジア)」
わらべ歌みたいな曲が、高校生が気持ちを込めて歌うのに打って付けで、情感に溢れて楽しく聴けた。トカトントンのオブリガード付きの鍛冶屋の歌も、キリキリ揃えるのではなく、柔らかく合わせて楽しかった。
<審査員個別順位>
ボブ・チルコット(作曲家)
1.鹿児島 2.郡山女声 3.福島A 4.浜松 5.市川 6.信愛 7.橘B
伊東恵司(合唱指揮者)
1.愛知 2.黎明A 3.坂出 4.郡山女声 5.福島B 5.市川 7.福島東 8.信愛 8.福島A 8.浜松 11.橘A
今井邦男(合唱指揮者)
1.郡山混声 2.郡山女声 3.黎明A 4.黎明B 5.愛知 6.橘B 7.福島A
岸信介(合唱指揮者)
1.安積A 2.愛知 3.黎明B 4.郡山女声 5.福島B 6.福島東 6.八戸東
高嶋みどり(作曲家)
1.愛知 2.郡山女声 2.鹿児島 4.福島B 5.八戸東 6.橘B 7.福島A
高橋啓三(バス・二期会会員)
1.郡山女声 2.黎明B 3.黎明B 4.優良賞 5.愛知 5.坂出 5.郡山混声 8.信愛 9.福島B 9.八千代
藤井宏樹(合唱指揮者)
1.郡山女声 2.八千代 3.愛知 4.市川 5.信愛 6.浜松 6.浜松 8.黎明B 9.鹿児島 10.福島B 10.橘A
<決定順位>
1.郡山女声 2.愛知 3.黎明A 4.福島B 5.市川(以上、本選進出) 6.黎明B 7.福島東 8.坂出 10.鹿児島 11.信愛 12.福島A 13.浜松 14.橘B 15.郡山混声 16.橘A 17.八千代 18.八戸東
2012年3月23日(木)10:00/福島市音楽堂
上の写真は音楽堂のお隣りにある酒屋で稲荷屋さん。福島で大阪弁を喋る僕を、あなた関西から来たのでしょうと見破った奥様は、京都のご出身だそうだ。このお店を一見した処、単なる町場の酒屋さんだが、実はシングル・モルトの品揃えでは全国有数なそうな。しかし、こんなお店が音楽堂の傍にあるとは、今まで全く気付かなかった。ご主人に何でシングル・モルトなんですか?とお尋ねすると、私が好きだからと云うシンプルなお答えだった。でも、幾ら好きでも売れないと続かないでしょうと言うと、ご主人は良く売れます!と力強く仰った。その節は本当に失礼を申し上げました。
青森県立八戸東高校音楽部(女声16名)
指揮/上村祐子
ヴィクトリア「Natus est nobis 我等に産まれし」
Ulo Vinter:Kellad
Gustav Emesaks:Sireli,kas mul onne
息漏れの聴こえる発声は気になるが、祝祭的で華やかなヴィクトリアの演奏。他の曲も軽快なリズムで、柔らかいハーモニーも心地良く、音楽作りに自発性がある。三曲共に音域的に無理のない選曲で、的確にデュナーミクの起伏を捉え、曲に含まれる情感を引き出した。
岩手県立盛岡第一高校音楽部(混声16名)
ピアノ/阿部ゆり子
ジョン・ラター「When daisies pied 春」
Frank Ticheli:Earth song
黒人霊歌「Wade in de water 浅瀬を渡れ」
アップ・テンポでポップス調の曲には伴奏も入り、聴いていて縦横の揃っているのか良く分からなかった。テンポの遅い二曲目はバスの低音を効かせ、厚味のあるハーモニーでキチンとハモらせるが、もう少し何か工夫しないと面白くない。最後のニグロはノリも良く、音色も整って綺麗で、僕はこれだけ気に入った。
秋田県立湯沢高校音楽部(女声6名)
パレストリーナ「Jesu rex admirabilis 賛美すべき王者キリスト」
ヤーコブ・ガルス「Haec est dies この日こそ」
二曲ともホモフォニックな曲なのを、やや肩透かしに感じる。美しいハーモニーはあるが、声を出すと真っ直ぐそのままなのと、拍節を揃えるクセもあるので、もっとレガートを意識して欲しい。
山形県立鶴岡南高校音楽部 Undecided(混声16名)
指揮/阿部隆幸
ジョン・ベネット「Weep,O mine eyes 涙せよ我が瞳」
モーリー「Fyer,fyer! 燃える我が心」
ベネットは情感タップリだがハーモニーに溺れ、ポリフォニックな線は今ひとつ出て来ない。モーリーはマドリガルの様式を的確に把握し、ポリフォニックな構造を明瞭に聴かせる。ただ、この曲は更に速いテンポが望ましく、テノールの生な声も気になるので、カウンター・テナーの起用も検討したい。もう一曲やる時間の余裕はあったので、この先生の指揮するマドリガルを、もっと聴かせて欲しかった。
宮城県古川黎明高校コーラス部(女声13名)
指揮/佐藤亮
Levente Gyongyosi:Cantate Domino
大田桜子「虹の輪の花」
ノリを大事にしてリズミカルな宗教曲を取り上げたが、その代わり少人数の音色の良さは犠牲になるので、両者のバランスを追及したい。大人数指向の邦人曲を13名でこなす、その技術力は評価するが、一音一音を押し過ぎで表現の生になるので、もっとレガートなフレージングを作りたかった。
八千代松陰高校合唱部 Zephyr(混声16名)
指揮/藤平華子
Eric Whitacre:I will wade out/Hope,faith,life,love/With a lily in your hand
メンバーの舞台上に広がる配置は、音像に広がりの出て効果的。無内容な曲でも、ハーモニーの色合いの変化は良く捉えている。ただ、高音部のフォルテに力の入り過ぎで、もっと声をホールに共鳴させるよう意識して欲しかった。
千葉県立船橋高校合唱部(混声16名)
指揮/吉田智恵子
ガストルディ「Amor vittorioso 愛の勝利」
Matti Hyokki:On suuri sun rantas autius
Guido Lopez-Gavilan:El guayaboso
男声六名で演奏するガストルディから、溌剌とした自発性を感じた。他の二曲にも頭声の柔らかいハーモニーがあり、対比の際立たせ方も上手い。最後の曲でカンカンキンキン云うのも面白かったし、曲に即応したリズム感のある、内容を良く咀嚼した演奏で、僕は楽しく聴かせて貰った。
山梨県立市川高校音楽部(女声16名)
指揮/薬袋直哉
ジョルジュ・オルバーン「Ludvercz 鬼火/Hajnalban 夜明けに」
Jenny Wihelms:Hjaoningarima
遅いテンポで粘り過ぎる上、先太りの声の出し方に違和感のあり、もう少しテキパキやって欲しく思う。アンサンブルの目的も、指揮者の意図も今ひとつ不分明で、平板な演奏になってしまった。
長野県伊那弥生ヶ丘高校 Yayoi ensemble ladys(女声11名)
指揮/高橋健美
ラヨシュ・バルドッシュ「Magos a rutafa 大きなルタの樹」
アルトに支えられた力強いハーモニーのあり、人数分以上の迫力はあるが、もう少し抑えたピアニシモも欲しい。音色の変化に乏しいのも、単調さの要因となっている。
浜松市立高校合唱団 Awesome(女声11名)
ヴェルヨ・トルミス「Tuisk 冷気/Kulm ブリザード」
木下牧子「春は来ぬ」(春二題)
トルミスは四曲全部やってナンボの曲と思われ、この二曲だけやっても意図不明となる。その後に木下をやるのも腑に落ちず、一体何をしたいのか、僕には理解不能。高音の伸びない技術的な不足もあって、音楽に工夫と云うものが無かった。
愛知高校女声合唱団(女声16名)
指揮/吉田稔
ヨーゼフ・カライ「Ejszaka 夜」
ド迫力で来る、コッテリ厚塗り厚化粧の音楽作りで、コケ脅しを志向する指揮者に全く共感出来ない。元来が効果のための効果を狙った曲で、もう少しフツーに出来んものかと思う。少人数アンサンブルでは、頭声の美しいハーモニーを基本にすべきと、痛感させられる。
岐阜県立岐阜北高校コーラス部(女声11名)
信長貴富「なみだうた(なみだうた)/村の鍛冶屋(ノスタルジア)」
わらべ歌みたいな曲が、高校生が気持ちを込めて歌うのに打って付けで、情感に溢れて楽しく聴けた。トカトントンのオブリガード付きの鍛冶屋の歌も、キリキリ揃えるのではなく、柔らかく合わせて楽しかった。
<審査員個別順位>
ボブ・チルコット(作曲家)
1.鹿児島 2.郡山女声 3.福島A 4.浜松 5.市川 6.信愛 7.橘B
伊東恵司(合唱指揮者)
1.愛知 2.黎明A 3.坂出 4.郡山女声 5.福島B 5.市川 7.福島東 8.信愛 8.福島A 8.浜松 11.橘A
今井邦男(合唱指揮者)
1.郡山混声 2.郡山女声 3.黎明A 4.黎明B 5.愛知 6.橘B 7.福島A
岸信介(合唱指揮者)
1.安積A 2.愛知 3.黎明B 4.郡山女声 5.福島B 6.福島東 6.八戸東
高嶋みどり(作曲家)
1.愛知 2.郡山女声 2.鹿児島 4.福島B 5.八戸東 6.橘B 7.福島A
高橋啓三(バス・二期会会員)
1.郡山女声 2.黎明B 3.黎明B 4.優良賞 5.愛知 5.坂出 5.郡山混声 8.信愛 9.福島B 9.八千代
藤井宏樹(合唱指揮者)
1.郡山女声 2.八千代 3.愛知 4.市川 5.信愛 6.浜松 6.浜松 8.黎明B 9.鹿児島 10.福島B 10.橘A
<決定順位>
1.郡山女声 2.愛知 3.黎明A 4.福島B 5.市川(以上、本選進出) 6.黎明B 7.福島東 8.坂出 10.鹿児島 11.信愛 12.福島A 13.浜松 14.橘B 15.郡山混声 16.橘A 17.八千代 18.八戸東