2013年9月27日(金)9:45/仙台イズミティ21
<福島県・中通り>
県立安積高校合唱団(女声23名)
指揮/鈴木和明
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
ミクロシュ・コチャール「Tuzciterak 火のツィテラ」
声を直線的に伸ばすポリフォニーの為、フォルテへ向けた盛り上がりはあるが、旋律の下降する際にもっと柔らかく歌い収めたい。コチャールには今ひとつ音色の変化が無いし、せめて速いか遅いか、テンポ設定の白黒をハッキリさせるべきと思う。また、遅目のテンポでパウゼを長く取るので、ピアニシモのテンションを更に高めないと、音楽の持続感を保てない。美しいハーモニーで創意工夫に富んだ演奏だが、曲の内容は表現し切れなかった。
郡山女子大学附属高校音楽部(女声26名)
指揮/加藤まゆ美
ピアノ/横溝聡子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「名‐夜/ここ」(女に)
快調なテンポで進めて軽やかな課題曲の演奏だが、もう少し音色の変化も意識しないと、全体としては単調に聴こえる。自由曲は中音域でメゾフォルテ程度の音量までは、デュナーミクの工夫でニュアンスを醸すが、フォルテでソプラノの高音がスピントせず、硬い声で表現力を欠いて終う。軽いリズム感でノリは良いので、声を柔らかく解したいのと、ハーモニーの色合いの変化を感じて欲しい。
県立福島明成高校合唱部(混声21名)
指揮/菊地和彦
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
Javier Busto:Ametsetan〜Ave Maria
ヴィクトリアはハーモニーに溺れ気味で、ややリズムも縦割りだが、各パートはクッキリ聴こえるので、ポリフォニー演奏として許容範囲にある。アレルヤのリフレインで更にテンポ・アップすれば、全体の印象も変わる筈と思う。自由曲は男声が縦のハーモニー感を掴んだ上に、リズムの扱いも適切で、ノリの良さと柔らかい表現力にも欠けず、なかなか美しい演奏。フレーズの縦を揃えた上でマルカートする、アーティキュレーションの作り方も面白かった。
県立郡山東高校混声合唱団(混声24名)
指揮/小林悟
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
モンテヴェルディ「Credo」(四声ミサ)
ややクサい程のデュナーミクの作り方が、この課題曲にはハマる。ただ、それは演技的な身振りとして、音楽を表面的に捉えた結果とも云える。モンテヴェルディにも大袈裟なデュナーミクを施し、緩徐部分でテンポをクルクル変え、速い部分ではスフォルツンドやテヌートを付し、またリタルダントしたりアチェルラントしたり等、様々な手管を矢継ぎ早に繰り出す。内容豊富とは言い難いミサを、面白く聴かせてくれたが、この堅苦しい凡作を取り上げる必然性は、全く理解出来ないままだった。
県立福島高校合唱団(混声38名)
指揮/馬場和美
コープランド「Have mercy on us, O my Lord 主よ憐れみ給え」(四つのモテット)
千原英喜「第一の言葉/エピローグ」(十字架上のキリストの最後の言葉)
コープランドで微かにアゴーギグを揺らせる、ピアニシモ主体の音楽作りが奏功する。自由曲で声の非力を露呈する局面はあっても、音楽の明るいのが取柄で、妙に弾むようなリズムが曲に対応している。大真面目に歌うとこんな演奏になる、ふざけた曲ではあるけれども。
県立安積高校合唱団(混声40名)
指揮/鈴木和明
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
ブラームス「Warum ist das Licht gegeben 何故に光を賜り op.74-1」(二つのモテット)
女声のロマンティックな音色で、ヴィクトリアのマニエリスモを美しく表現したが、仄暗い情念を引き出すまでには至らない。ブラームスにもロマン派らしい表現力はあったし、ドイツ語も県大会の際からはやや改善され、少なくとも語尾のtやdを発音するのは聴こえたので、一応それらしくはなった。ただ、対位法的な部分を整理出来ていないので、それぞれに異なる形で三回出て来る、主題への意味付けは曖昧なままとなった。
県立福島東高校合唱団(混声44名)
指揮/星英一
ピアノ/鈴木あずさ
旭井翔一「屈折率」(幻想小曲集)
鈴木輝昭「When that I was and a little tiny boy」(シェイクスピアによる“十二夜”歌集)
この課題曲は聴けば聴く程、良く分からなくなる曲だ。強引にフォルテシモを引出し、ピアニシモをレガートに歌わせ、アザトくパウゼを挟む指揮者の表現の幅は広いが、そこまでして貰っても何だか良く分からない曲だ。自由曲でも指揮者はノリノリで、リズムの切れは鋭く、声の力にも欠けていない。詰まらない曲も大変な熱演で盛り上がり、三澤洋史如きに何を言われようとも動ぜず、ひたすらに我が道を進むのみのようだ。
県立橘高校合唱団(女声36名)
指揮/瓶子美穂子
ピアノ/鈴木あずさ
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「絵師よ」(肖像画・絵師よ)
デュナーミクの工夫で課題曲に即応する情感はあるが、音色の変化が無いので全体としては平板に感じる。自由曲も広いダイナミク・レンジを駆使し、深く表現的な声そのものの力で聴かせて迫力ある演奏。ただ、全体的にモノクロームな印象で、もっと音色に対して敏感に反応し、ハーモニーの色合いの変化を鋭く捉えて欲しい。
県立郡山東高校女声合唱団(女声37名)
指揮/小林悟
ピアノ/橋本絵美
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「Cantate Domino 詩編96番」
課題曲には適切なデュナーミクがあり、爽やかに盛り上がる演奏。対位法的な部分でテンポ・アップし、その後に緩めるのも効果的だった。自由曲はドッペル・コールの効果を充全に表現する、声の美しさと力がある。大変な熱演で技術力も高いが、如何せん曲自体の面白味を欠いていた。
県立郡山高校合唱団(混声59名)
指揮/菅野正美
ピアノ/鈴木あずさ
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
鈴木輝昭「地上楽園の午後」
この指揮者らしいアゴーギグの揺らせ方で聴かせる、美しい課題曲の演奏だが、表現の幅は存外狭いので、もう少し音色の変化を意識したい。委嘱の自由曲は熱演すればする程、曲の無内容を暴き立てるような具合になる。いっその事、歌詞の無いヴォーカリーズの曲にして終えば、清々しく潔いとも思える。技術の高さは瞠目すべきレヴェルにあるので、それを他の曲に振り向けるよう要望して置く。
県立安積黎明高校合唱団(女声49名)
指揮/宍戸真市
ピアノ/鈴木あずさ
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「青頭巾」(雨月物語)
課題曲には柔らかいデュナーミクの作りで醸される情感があり、対位法的な部分を捌く指揮者の手付きも堂に入っている。委嘱の自由曲は日本的な情念の表出に力点を置き、歌詞の部分とヴォーカリーズの部分とに有機的な繋がりがあるので、英語歌詞の曲等よりは遥かにマシと感じる。演奏そのものはテンションを揚げ一気呵成に行って終う曲で、メリハリを付ける暇も無いようだった。
<福島県・中通り>
県立安積高校合唱団(女声23名)
指揮/鈴木和明
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
ミクロシュ・コチャール「Tuzciterak 火のツィテラ」
声を直線的に伸ばすポリフォニーの為、フォルテへ向けた盛り上がりはあるが、旋律の下降する際にもっと柔らかく歌い収めたい。コチャールには今ひとつ音色の変化が無いし、せめて速いか遅いか、テンポ設定の白黒をハッキリさせるべきと思う。また、遅目のテンポでパウゼを長く取るので、ピアニシモのテンションを更に高めないと、音楽の持続感を保てない。美しいハーモニーで創意工夫に富んだ演奏だが、曲の内容は表現し切れなかった。
郡山女子大学附属高校音楽部(女声26名)
指揮/加藤まゆ美
ピアノ/横溝聡子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「名‐夜/ここ」(女に)
快調なテンポで進めて軽やかな課題曲の演奏だが、もう少し音色の変化も意識しないと、全体としては単調に聴こえる。自由曲は中音域でメゾフォルテ程度の音量までは、デュナーミクの工夫でニュアンスを醸すが、フォルテでソプラノの高音がスピントせず、硬い声で表現力を欠いて終う。軽いリズム感でノリは良いので、声を柔らかく解したいのと、ハーモニーの色合いの変化を感じて欲しい。
県立福島明成高校合唱部(混声21名)
指揮/菊地和彦
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
Javier Busto:Ametsetan〜Ave Maria
ヴィクトリアはハーモニーに溺れ気味で、ややリズムも縦割りだが、各パートはクッキリ聴こえるので、ポリフォニー演奏として許容範囲にある。アレルヤのリフレインで更にテンポ・アップすれば、全体の印象も変わる筈と思う。自由曲は男声が縦のハーモニー感を掴んだ上に、リズムの扱いも適切で、ノリの良さと柔らかい表現力にも欠けず、なかなか美しい演奏。フレーズの縦を揃えた上でマルカートする、アーティキュレーションの作り方も面白かった。
県立郡山東高校混声合唱団(混声24名)
指揮/小林悟
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
モンテヴェルディ「Credo」(四声ミサ)
ややクサい程のデュナーミクの作り方が、この課題曲にはハマる。ただ、それは演技的な身振りとして、音楽を表面的に捉えた結果とも云える。モンテヴェルディにも大袈裟なデュナーミクを施し、緩徐部分でテンポをクルクル変え、速い部分ではスフォルツンドやテヌートを付し、またリタルダントしたりアチェルラントしたり等、様々な手管を矢継ぎ早に繰り出す。内容豊富とは言い難いミサを、面白く聴かせてくれたが、この堅苦しい凡作を取り上げる必然性は、全く理解出来ないままだった。
県立福島高校合唱団(混声38名)
指揮/馬場和美
コープランド「Have mercy on us, O my Lord 主よ憐れみ給え」(四つのモテット)
千原英喜「第一の言葉/エピローグ」(十字架上のキリストの最後の言葉)
コープランドで微かにアゴーギグを揺らせる、ピアニシモ主体の音楽作りが奏功する。自由曲で声の非力を露呈する局面はあっても、音楽の明るいのが取柄で、妙に弾むようなリズムが曲に対応している。大真面目に歌うとこんな演奏になる、ふざけた曲ではあるけれども。
県立安積高校合唱団(混声40名)
指揮/鈴木和明
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
ブラームス「Warum ist das Licht gegeben 何故に光を賜り op.74-1」(二つのモテット)
女声のロマンティックな音色で、ヴィクトリアのマニエリスモを美しく表現したが、仄暗い情念を引き出すまでには至らない。ブラームスにもロマン派らしい表現力はあったし、ドイツ語も県大会の際からはやや改善され、少なくとも語尾のtやdを発音するのは聴こえたので、一応それらしくはなった。ただ、対位法的な部分を整理出来ていないので、それぞれに異なる形で三回出て来る、主題への意味付けは曖昧なままとなった。
県立福島東高校合唱団(混声44名)
指揮/星英一
ピアノ/鈴木あずさ
旭井翔一「屈折率」(幻想小曲集)
鈴木輝昭「When that I was and a little tiny boy」(シェイクスピアによる“十二夜”歌集)
この課題曲は聴けば聴く程、良く分からなくなる曲だ。強引にフォルテシモを引出し、ピアニシモをレガートに歌わせ、アザトくパウゼを挟む指揮者の表現の幅は広いが、そこまでして貰っても何だか良く分からない曲だ。自由曲でも指揮者はノリノリで、リズムの切れは鋭く、声の力にも欠けていない。詰まらない曲も大変な熱演で盛り上がり、三澤洋史如きに何を言われようとも動ぜず、ひたすらに我が道を進むのみのようだ。
県立橘高校合唱団(女声36名)
指揮/瓶子美穂子
ピアノ/鈴木あずさ
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「絵師よ」(肖像画・絵師よ)
デュナーミクの工夫で課題曲に即応する情感はあるが、音色の変化が無いので全体としては平板に感じる。自由曲も広いダイナミク・レンジを駆使し、深く表現的な声そのものの力で聴かせて迫力ある演奏。ただ、全体的にモノクロームな印象で、もっと音色に対して敏感に反応し、ハーモニーの色合いの変化を鋭く捉えて欲しい。
県立郡山東高校女声合唱団(女声37名)
指揮/小林悟
ピアノ/橋本絵美
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「Cantate Domino 詩編96番」
課題曲には適切なデュナーミクがあり、爽やかに盛り上がる演奏。対位法的な部分でテンポ・アップし、その後に緩めるのも効果的だった。自由曲はドッペル・コールの効果を充全に表現する、声の美しさと力がある。大変な熱演で技術力も高いが、如何せん曲自体の面白味を欠いていた。
県立郡山高校合唱団(混声59名)
指揮/菅野正美
ピアノ/鈴木あずさ
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
鈴木輝昭「地上楽園の午後」
この指揮者らしいアゴーギグの揺らせ方で聴かせる、美しい課題曲の演奏だが、表現の幅は存外狭いので、もう少し音色の変化を意識したい。委嘱の自由曲は熱演すればする程、曲の無内容を暴き立てるような具合になる。いっその事、歌詞の無いヴォーカリーズの曲にして終えば、清々しく潔いとも思える。技術の高さは瞠目すべきレヴェルにあるので、それを他の曲に振り向けるよう要望して置く。
県立安積黎明高校合唱団(女声49名)
指揮/宍戸真市
ピアノ/鈴木あずさ
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「青頭巾」(雨月物語)
課題曲には柔らかいデュナーミクの作りで醸される情感があり、対位法的な部分を捌く指揮者の手付きも堂に入っている。委嘱の自由曲は日本的な情念の表出に力点を置き、歌詞の部分とヴォーカリーズの部分とに有機的な繋がりがあるので、英語歌詞の曲等よりは遥かにマシと感じる。演奏そのものはテンションを揚げ一気呵成に行って終う曲で、メリハリを付ける暇も無いようだった。