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Channel: オペラの夜
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第67回福島県合唱コンクール

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2013年8月30日(金)10:00/磐城芸術文化交流館アリオス

<中通り>
県立本宮高校(女声22名)
指揮/竹田朗子
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
信長貴富「木」
 モラレスは終始同じテンポなので、せめて最後はリタルダントして欲しい。自由曲は清楚で可愛らしい演奏だが、もう少しダイナミク・レンジの幅を広げないと、聴く側の集中力が持たない。最後だけフォルテらしき音量で締め括ったが、そこまでずっとメゾピアノのままでは、変化の無い詰まらない曲に退屈する。

県立保原高校(混声15名)
指揮/舟山綾美
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
千原英喜「第2楽章」(カクレキリシタン3つの歌)
 それなりに綺麗で一応サマになっていても、ヴィクトリアは引き摺るようなリズム感で、指揮者の振り過ぎる拍節感も露わとなる。自由曲は恐らくこの解釈で正しいが、声の力不足で額面通りには行かない。良くハモる合唱団で、その志向に合う曲とも思うが、思い入れタップリにやられても退屈するだけなので、もっとテキパキ片付けて欲しかった。

県立清陵情報高校(女声8名)
指揮/金澤勝敏
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
西村朗「明日香皇女への挽歌」(柿本人麻呂の三首の挽歌による)
 モラレスは声部の出し入れも、山場の作り方も上手で美しいハーモニーもあるが、拍節的なリズム感が大きな瑕となっている。この人数で西村の難曲を取り上げる勇気は買うが、音色の変化が無い為、精一杯の力演も聴いていて面白くはならない。ソプラノとメゾに歌える子の居るが、アルトに居なかったので、やはり無理のある選曲と思う。

県立岩瀬農業高校&県立小野高校合同(混声13名)
指揮/西舘成矩
ピアノ/菅原民栄
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
廣瀬量平「海鵜」(海鳥の歌)
 ヴィクトリアではアルトの不安定な音程を、テノールの支えで結構良くハモるが、もっと速目のテンポでレガートを意識して歌いたい。廣瀬量平は一音一音押しながら進むのを、丁寧に歌っていると勘違いしているフシがある。この人数なら更に速いテンポ設定で、遅い部分とのメリハリを付けたかった。

県立田村高校(女声33名)
指揮/渡部裕子
ピアノ/今川瑠美
高嶋みどり「きょうの陽に(明日のりんご)/六月(女の肖像)」
 技術的に特筆すべきものは無いが、課題曲の演奏には自然体な良さがある。自由曲はやや遅目のテンポで、ねちっこく歌う印象。この合唱団の持ち声の良さは、更に速いテンポで生かされる筈と思う。

県立安達高校(混声29名)
指揮/神野藤真砂子
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
モンテヴェルディ「Crudel perche mi fuggi 残酷な人」(マドリガーレ第2巻)
Rihards Dubra:Ave Maria II
 ヴィクトリアでソプラノからヴィブラートのキツい、異質な声の聴こえるのが気になる。止めさせるか、そこに全体を合わせるかしないと、アンサンブルとして成立しない。モンテヴェルディもテンポが遅過ぎる上、縦横も揃わず雑然とした演奏。イタリア語の抑揚を感じないとマドリガーレとして形にならず、指揮者のセンス自体は悪くないのだが、それを味わう以前の段階だろう。

県立須賀川桐陽高校(女声10名)
指揮/近藤和子
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Petr Eben:Cis nebyl doma/Kukacka kuka/Vlastovicka
 この人数で旋律の頂上をシッカリと歌う、ポリフォニーの基本が出来ているのはエライと思う。指揮者は旋律線の絡み合いを把握し、曲の山場を見付ける、全体の設計もキチンと出来ている。エベンではポルタメントの使い方が巧く、三曲をキチンと歌い分けている。清楚な声質でフォルテを出し切る力にも欠けない、知的な美しさのある演奏だった。

県立安達東高校(女声17名)
指揮/濱崎晋
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
濱崎晋「果実集め第79番」
 恐らく個人の声だろうが、モラレスで各パートの音色がクッキリ異なるので、結果的に声部の分離は良く出来た。指揮者の自作自演は精一杯の熱演と、独特な声の音色でそれなりに美しく聴かせるが、もう少しダイナミク・レンジを広げる意欲が欲しい。生徒さん達に、そのポテンシャルはあるように思う。

県立川俣高校(女声14名)
指揮/石川千穂
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
javier Busto:Magnificat
 モラレスでちゃんとポリフォニーしているのに感心するが、変なトコでブレスするのは良くないと思う。自由曲はグレゴリオ聖歌を基調とする至極マトモな曲。基本的な力を付ける為に良い選曲と思うが、演奏そのものも曲自体も、聴いていて非常に面白いとまでは行かなかった。

県立石川高校&県立白河実業高校&県立修明高校合同(女声19名)
指揮/佐藤みどり
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
木下牧子「いっしょに/棗のうた」
 モラレスのリズムに拍節を感じるが、三校合同のハンデを加味すれば良く歌えている。自由曲は少人数だから小さな声で良いと云う考え方を捨て、皆さん普段から大声を出す訓練をすべきだろう。小さな声で歌う練習ばかり繰り返していると、合同で人数の増えても大きな声は出せない筈だ。

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