2013年8月30日(金)10:00/磐城芸術文化交流館アリオス
<浜通り>
県立湯本高校(女声19名)
指揮/佐藤留美
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
フローラン・シュミット「Prince et bergere 領主と羊飼いの娘(En bonnes Voix)/
Vetyver ヴェティヴェル/Pastourettes 羊飼いの娘達(De vives Voix)」
モラレスは速過ぎるテンポで、生徒に他パートを聴く余裕も無く、指揮者は旋律に膨らみを付ける暇も無い。シュミットはひとつ一つの単語に拘り過ぎで、全体の流れを掴めておらず、これは二曲目の速いテンポなら誤魔化せても、三曲目のリズミカルな曲想とは噛み合わない。即興的にアゴーギグを揺らし、曲想に応じ音色を変化させないと、サマにならない曲と思う。
県立磐城高校(女声42名)
指揮/赤城佳奈
ピアノ/志賀悠亮
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
高田三郎「みずすまし/流れ」(心の四季)
課題曲はパート内部で今ひとつ揃わないが、そこに自然体で平凡な良さのあると感じる。今時のコンクールでサブローを聴かされると、何だか妙に新鮮に感じられる。子音の扱いは丁寧で無声音を強調したりもせず、力まないアルトの支えで、柔らかくレガートな演奏が好ましい。昔、良く聴かされたようなサブローの演奏とは違う、泥臭さの無いスマートな音楽作りで楽しく聴けた。
県立相馬東高校(女声12名)
指揮/久保田浩規
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
ミクロシュ・コチャール「Kyrie/Sanctus」(Missa in A)
誠にか細い声で、蜉蝣のように儚げなポリフォニー。その声でコチャールに挑む度胸は買うし、演奏もソコソコ盛り上がったが、この曲が基本を培う為に適当とも思えない。
県立いわき総合高校(女声9名)
指揮&ピアノ/小泉和佳子
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
ペルコレージ「スターバト・マーテル」
モラレスは及び腰で歌っている感じだが、ペルコレージで表現意欲らしきものを示す。この曲のセンチメントを引き出したのは、指揮者の弾くピアノの所為だろう。別に上手な訳ではないが、曲への共感はあったと思う。
県立いわき光洋高校(女声10名)
指揮/八代悦二郎
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Petr Eben:Preludio/Allemande/Courante/Gigue〜CATONIS MORALIA
細いけれども芯のある声で、ややハーモニーに溺れ気味だが、モラレスの曲想は掴めている。エベンのリズミカルな曲も上手に歌えて、これは個人の力量が無いと出来ない芸当だろう。表現そのものは一面的だが、これは人数を増やす事でしか解決しない。少人数で出来る範囲の事をキッチリと行い、聴かせる女子高生達をエライと思う。
県立磐城桜が丘高校(女声12名)
指揮/谷恵美
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
javier Busto:Ave Maria gratia/Salve Regina
ソプラノの音程が上がり切らない等、声の力そのものは無いが、ポリフォニーを味わいながら歌えているのは何よりと思う。自由曲でも身に付いた頭声で、しっかりピアニシモを出せるので、宗教曲の美しさとニュアンスを表現出来る。ただ、表現の幅自体は狭いので、声を鍛えてフォルテを出せるようにして欲しい。
<会津>
県立喜多方東高校(混声10名)
指揮/遠藤光子
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘/O quam gloriosum 栄光に輝く王国/
Gloria(ミサ・オー・マニュム・ミステリウム)」
しっかり声を出せる六名の男声で、安定したハーモニーがある。女声へカウンター・テノールを割いて、補強しても良い位だ。先生の踊り過ぎる指揮は気になるが、生徒からは表現意欲を感じるし、三曲のテンポ設定も上手に出来て、安心して聴けるのが何より。彼等のヴィクトリアの音楽に対する理解度は高いと思う。
県立会津学鳳中学・高校(混声39名)
指揮/佐藤朋子
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
荻久保和明「ゆめみる」(季節へのまなざし)
課題曲はソツ無く美しいが、更に高いテンションのピアニシモがあれば、曲の山場も情感豊かに盛り上がる筈。自由曲は輝かしい声で圧倒するか、もっとアザトい表現で生々しい迫力を出す事が必要。こちらもソツ無く美しく、一応は額面通り盛り上がるが、如何にも平凡でもっと羽目を外した演奏の望まれる。
県立喜多方高校(混声40名)
指揮/高橋祐二
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
Rihards Dubra:Duo Seraphim
課題曲はポルタメント気味のデュナーミクの作り方で、伸ばす声に情感を滲ませ、ニュアンスに満ちているのが素晴らしい。自由曲は男声の支えでテンションの高いピアニシモがあり、やはり曲に内在する情感を上手に引き出している。速いフレーズの細かい音型もピタリと揃え、全体を見通した設計もキチンと出来ている。ただ、最後の不協和なハーモニーの決まらなかったのは惜しまれる。
県立葵高校(女声37名)
指揮/横山裕理
ピアノ/菅野千尋
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
西村朗「匂宮」(浮舟)
課題曲は対位法的な処理をキッチリ出来て、伸びやかな声も美しく、音色の変化にデュナーミクを絡めて暖かいニュアンスに満ちている。西村でガラリと雰囲気を変える手際が上手で、オブリガードにはデュナーミクの工夫を施し、ニュアンスを醸している。旋律のアゴーギグの揺らせ方に合わせ、局面に応じた音色の変化もあれば尚良かったと思う。
県立南会津高校(女声13名)
指揮/児玉貴範
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
バード「Kyrie/Gloria」(三声ミサ)
何とも可愛らしい声で、まずは大きな声を出す習慣から身に着けたい。この可愛らしい声のバードはなかなか和めるが、何の変化も無いのでやや退屈した。
県立会津学鳳中学・高校(女声47名)
指揮/佐藤朋子
ピアノ/桜田康弘
池辺晋一郎「雨の犬」(この世界のぜんぶ)
三善晃「あっちへいけ/みつめてる」(のら犬ドジ)
この課題曲ならば子音を強調し、スフォルツァンドを多用するアザトい音楽作りで正解。「あっちへいけ」は速目のテンポで、これも素直にはやらず、力任せにフォルテを出す嫌いもある。「みつめてる」も子音を長目に粘り、声をズリ上げてみたり、遣り過ぎが却って効果を挙げていない。
県立会津高校(混声78名)
指揮/大竹隆
ピアノ/志田智子
旭井翔一「屈折率」(幻想小曲集)
Josep Vila i Casanas:Salve Regina
課題曲では広いダイナミク・レンジを武器とし、曲自体の良し悪しはどうでも良い、シンフォニックに鳴らす声の魅力で圧倒する。自由曲は対位法的な構造を、クッキリ際立たせる明快な音楽作りで、アチェルラントを的確に使い効果を挙げる。深い響きのピアニシモが美しかった、
会津若松ザベリオ学園高校(女声16名)
指揮/大竹健太郎
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Hendrik Andriessen:Kyrie/Gloria〜Missa Simplex
声の非力を速いテンポで誤魔化すのは常道だが、もう少し遅目にジックリ曲を味わいたい。ミサではソコソコ声も出て表現意欲も伝わるし、これだけ出来るならモラレスも頑張って欲しかった。テンポ設定は全て通常より速く、どうやらそれがこの先生の趣味らしい。
<浜通り>
県立湯本高校(女声19名)
指揮/佐藤留美
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
フローラン・シュミット「Prince et bergere 領主と羊飼いの娘(En bonnes Voix)/
Vetyver ヴェティヴェル/Pastourettes 羊飼いの娘達(De vives Voix)」
モラレスは速過ぎるテンポで、生徒に他パートを聴く余裕も無く、指揮者は旋律に膨らみを付ける暇も無い。シュミットはひとつ一つの単語に拘り過ぎで、全体の流れを掴めておらず、これは二曲目の速いテンポなら誤魔化せても、三曲目のリズミカルな曲想とは噛み合わない。即興的にアゴーギグを揺らし、曲想に応じ音色を変化させないと、サマにならない曲と思う。
県立磐城高校(女声42名)
指揮/赤城佳奈
ピアノ/志賀悠亮
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
高田三郎「みずすまし/流れ」(心の四季)
課題曲はパート内部で今ひとつ揃わないが、そこに自然体で平凡な良さのあると感じる。今時のコンクールでサブローを聴かされると、何だか妙に新鮮に感じられる。子音の扱いは丁寧で無声音を強調したりもせず、力まないアルトの支えで、柔らかくレガートな演奏が好ましい。昔、良く聴かされたようなサブローの演奏とは違う、泥臭さの無いスマートな音楽作りで楽しく聴けた。
県立相馬東高校(女声12名)
指揮/久保田浩規
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
ミクロシュ・コチャール「Kyrie/Sanctus」(Missa in A)
誠にか細い声で、蜉蝣のように儚げなポリフォニー。その声でコチャールに挑む度胸は買うし、演奏もソコソコ盛り上がったが、この曲が基本を培う為に適当とも思えない。
県立いわき総合高校(女声9名)
指揮&ピアノ/小泉和佳子
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
ペルコレージ「スターバト・マーテル」
モラレスは及び腰で歌っている感じだが、ペルコレージで表現意欲らしきものを示す。この曲のセンチメントを引き出したのは、指揮者の弾くピアノの所為だろう。別に上手な訳ではないが、曲への共感はあったと思う。
県立いわき光洋高校(女声10名)
指揮/八代悦二郎
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Petr Eben:Preludio/Allemande/Courante/Gigue〜CATONIS MORALIA
細いけれども芯のある声で、ややハーモニーに溺れ気味だが、モラレスの曲想は掴めている。エベンのリズミカルな曲も上手に歌えて、これは個人の力量が無いと出来ない芸当だろう。表現そのものは一面的だが、これは人数を増やす事でしか解決しない。少人数で出来る範囲の事をキッチリと行い、聴かせる女子高生達をエライと思う。
県立磐城桜が丘高校(女声12名)
指揮/谷恵美
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
javier Busto:Ave Maria gratia/Salve Regina
ソプラノの音程が上がり切らない等、声の力そのものは無いが、ポリフォニーを味わいながら歌えているのは何よりと思う。自由曲でも身に付いた頭声で、しっかりピアニシモを出せるので、宗教曲の美しさとニュアンスを表現出来る。ただ、表現の幅自体は狭いので、声を鍛えてフォルテを出せるようにして欲しい。
<会津>
県立喜多方東高校(混声10名)
指揮/遠藤光子
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘/O quam gloriosum 栄光に輝く王国/
Gloria(ミサ・オー・マニュム・ミステリウム)」
しっかり声を出せる六名の男声で、安定したハーモニーがある。女声へカウンター・テノールを割いて、補強しても良い位だ。先生の踊り過ぎる指揮は気になるが、生徒からは表現意欲を感じるし、三曲のテンポ設定も上手に出来て、安心して聴けるのが何より。彼等のヴィクトリアの音楽に対する理解度は高いと思う。
県立会津学鳳中学・高校(混声39名)
指揮/佐藤朋子
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
荻久保和明「ゆめみる」(季節へのまなざし)
課題曲はソツ無く美しいが、更に高いテンションのピアニシモがあれば、曲の山場も情感豊かに盛り上がる筈。自由曲は輝かしい声で圧倒するか、もっとアザトい表現で生々しい迫力を出す事が必要。こちらもソツ無く美しく、一応は額面通り盛り上がるが、如何にも平凡でもっと羽目を外した演奏の望まれる。
県立喜多方高校(混声40名)
指揮/高橋祐二
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
Rihards Dubra:Duo Seraphim
課題曲はポルタメント気味のデュナーミクの作り方で、伸ばす声に情感を滲ませ、ニュアンスに満ちているのが素晴らしい。自由曲は男声の支えでテンションの高いピアニシモがあり、やはり曲に内在する情感を上手に引き出している。速いフレーズの細かい音型もピタリと揃え、全体を見通した設計もキチンと出来ている。ただ、最後の不協和なハーモニーの決まらなかったのは惜しまれる。
県立葵高校(女声37名)
指揮/横山裕理
ピアノ/菅野千尋
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
西村朗「匂宮」(浮舟)
課題曲は対位法的な処理をキッチリ出来て、伸びやかな声も美しく、音色の変化にデュナーミクを絡めて暖かいニュアンスに満ちている。西村でガラリと雰囲気を変える手際が上手で、オブリガードにはデュナーミクの工夫を施し、ニュアンスを醸している。旋律のアゴーギグの揺らせ方に合わせ、局面に応じた音色の変化もあれば尚良かったと思う。
県立南会津高校(女声13名)
指揮/児玉貴範
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
バード「Kyrie/Gloria」(三声ミサ)
何とも可愛らしい声で、まずは大きな声を出す習慣から身に着けたい。この可愛らしい声のバードはなかなか和めるが、何の変化も無いのでやや退屈した。
県立会津学鳳中学・高校(女声47名)
指揮/佐藤朋子
ピアノ/桜田康弘
池辺晋一郎「雨の犬」(この世界のぜんぶ)
三善晃「あっちへいけ/みつめてる」(のら犬ドジ)
この課題曲ならば子音を強調し、スフォルツァンドを多用するアザトい音楽作りで正解。「あっちへいけ」は速目のテンポで、これも素直にはやらず、力任せにフォルテを出す嫌いもある。「みつめてる」も子音を長目に粘り、声をズリ上げてみたり、遣り過ぎが却って効果を挙げていない。
県立会津高校(混声78名)
指揮/大竹隆
ピアノ/志田智子
旭井翔一「屈折率」(幻想小曲集)
Josep Vila i Casanas:Salve Regina
課題曲では広いダイナミク・レンジを武器とし、曲自体の良し悪しはどうでも良い、シンフォニックに鳴らす声の魅力で圧倒する。自由曲は対位法的な構造を、クッキリ際立たせる明快な音楽作りで、アチェルラントを的確に使い効果を挙げる。深い響きのピアニシモが美しかった、
会津若松ザベリオ学園高校(女声16名)
指揮/大竹健太郎
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Hendrik Andriessen:Kyrie/Gloria〜Missa Simplex
声の非力を速いテンポで誤魔化すのは常道だが、もう少し遅目にジックリ曲を味わいたい。ミサではソコソコ声も出て表現意欲も伝わるし、これだけ出来るならモラレスも頑張って欲しかった。テンポ設定は全て通常より速く、どうやらそれがこの先生の趣味らしい。