2013年8月30日(金)10:00/磐城芸術文化交流館アリオス
<福島市>
県立福島東高校(混声45名)
指揮/星英一
ピアノ/鈴木あずさ
旭井翔一「屈折率」(幻想小曲集)
鈴木輝昭「When that I was and a little tiny boy」(シェイクスピアによる“十二夜”歌集)
綺麗にハモるだけの課題曲だが、指揮者は遅いテンポの中でデュナーミクを工夫し聴かせる。鈴木への委嘱曲も手際良く盛り上げ、爽やかに歌い上げる。但し、英語歌詞なのに旋律から日本語の韻律を感じる、内容に乏しい詰まらない曲で、聴く側として集中力を保つのは難しかった。
県立福島北高校(混声20名)
指揮/野地綾
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
千原英喜「第1楽章」(唱歌)
ヴィクトリアはラテン語の抑揚を掴んでおらず平板になるのと、後押しするリズム感もあるので、もっとレガートを意識し歌って欲しい。その和風のリズム感も自由曲になら合う筈が、こちらは妙にレガートな演奏。無内容な曲だし、もっとアザトくやって貰わないと退屈する。
県立福島高校(混声38名)
指揮/馬場和美
コープランド「Have mercy on us, O my Lord 主よ憐れみ給え」(四つのモテット)
千原英喜「第一の言葉/エピローグ」(十字架上のキリストの最後の言葉)
フォルテでも割れない柔らかい男声は、取り分けバスに力があり、コープランドで安定したハーモニーと豊かな情感を紡ぐ。如何にも泥臭い自由曲も、速いテンポで柔らかくスマートに歌い上げるが、こんな風に何の引っ掛かりも無くレガートにやると、曲の詰まらなさも際立つように思う。
桜の聖母学院高校(女声8名)
指揮/佐川いずみ
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Javier Busto:Ela!elA!/Alimu!alimu!/Zapata txuriak
モラレスは誠にか細い声で、儚なげな幸薄い演奏。ただ、一応それらしい雰囲気はあったので、ポリフォニーへの理解はあるように思う。自由曲ではもう少し大きな声を出せたが、やはり頼り無い発声は変わらない。それなりに綺麗だが、ちんまり纏まった袖珍版のような演奏で、何れにせよヴォイス・トレーニングは必須と思う。
県立福島明成高校(混声20名)
指揮/菊地和彦
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
Javier Busto:Ametsetan〜Ave Maria
キチンとしたポリフォニーで、ヴィクトリアらしい情感に溢れる演奏だが、もう少しテンポや音量のメリハリは付けて欲しい。自由曲は緩急の切り替えも上手に出来たし、清楚な女声を男声が確り支えて、安定したハーモニーがある。遅い部分からは情感を引き出し、速い曲想は愉し気で、優し気なニュアンスに満ちた演奏からは、指揮者の人柄の滲むように感じられた。
県立福島西高校&県立福島南高校合同(女声15名)
指揮/西村静
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
キャプレ「Gloria」(三声ミサ)
モラレスではダイナミズムの変化で山場を作り、各パートをほぼ均等に聴かせる、ポリフォニーの基本を弁えた生徒の理解度は高い。キャプレも成熟した声で立派な演奏だが、色々と工夫の余地のある曲で、個性的な主張の無いと映えない曲でもある。聴き慣れた曲こそ新たな解釈、新たな発見のある演奏でありたいと思う。
福島東陵高校(女声9名)
指揮/貝瀬幹雄
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
キャプレ「Inscriptions champetres 野の碑文」
少人数ならこの速目のテンポが正解で、人数分以上の声も出ているし、曲のニュアンスも掴んでいるが、ソプラノにスカッと抜ける声の無いので、もっと頭声を意識して取り組んで欲しい。これは古い時代の音楽に限った話では無い。キャプレでもキチンと縦を揃え、速いパッセージは良く処理したが、緩徐部分ではアゴーギグを揺らせる、更に濃厚な表現も欲しい処。可愛らしい声でマジメに遣り過ぎている印象だった。
福島成蹊高校(混声12名)
指揮/遠藤明子
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
リゲティ「Magany 孤独/Bujdoso お尋ね者」
一人しか居ないバスがちゃんと低音を出し、混声合唱として成立させている。リゲティのマドリガル風の曲は、バルトークへのオマージュだろうか。ピアニシモのロング・トーンを保つ技術力のあるのが凄いし、マジャール語を生かすリズムの扱いも適切で、ジプシー音楽の雰囲気を良く掴んでいる。ただ、指揮者の表現しようとする意図は分かるが、それが演奏に顕れないもどかしさはあった。
県立橘高校(女声36名)
指揮/瓶子美穂子
ピアノ/鈴木あずさ
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「絵師よ」(肖像画・絵師よ)
顧問教諭は交代しても成熟した女性らしい声は健在で、指揮者の対位法的な部分の捌き方も堂に入っている。自由曲も高い技術力で歌いこなすが、高低の音域で音色の変化が無く、音楽の表現は一面的になって終う。頭に血を昇らせ、ひたすらな力押しに終始する単調な演奏で、もっと弱音部の美しさを際立たせる工夫の望まれる。
<決定順位>
1.安積黎明 2.郡山 3.会津 4.橘 5.安積混声 6.郡山東女声 7.喜多方 8.郡女附属 9.会津学鳳女声 10.会津学鳳混声 11.葵 12.福島 13.安積女声 14.福島明成 15.福島東 16.郡山東混声 17.安達東 18.安積男声 19.湯本 20.磐城 21.磐城桜が丘 22.清陵情報
上掲の写真はいわき名所のスパリゾート・ハワイアンズに因み、アロハ・シャツで審査に臨む佐藤正浩さんです。ご協力ありがとうございました。
<福島市>
県立福島東高校(混声45名)
指揮/星英一
ピアノ/鈴木あずさ
旭井翔一「屈折率」(幻想小曲集)
鈴木輝昭「When that I was and a little tiny boy」(シェイクスピアによる“十二夜”歌集)
綺麗にハモるだけの課題曲だが、指揮者は遅いテンポの中でデュナーミクを工夫し聴かせる。鈴木への委嘱曲も手際良く盛り上げ、爽やかに歌い上げる。但し、英語歌詞なのに旋律から日本語の韻律を感じる、内容に乏しい詰まらない曲で、聴く側として集中力を保つのは難しかった。
県立福島北高校(混声20名)
指揮/野地綾
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
千原英喜「第1楽章」(唱歌)
ヴィクトリアはラテン語の抑揚を掴んでおらず平板になるのと、後押しするリズム感もあるので、もっとレガートを意識し歌って欲しい。その和風のリズム感も自由曲になら合う筈が、こちらは妙にレガートな演奏。無内容な曲だし、もっとアザトくやって貰わないと退屈する。
県立福島高校(混声38名)
指揮/馬場和美
コープランド「Have mercy on us, O my Lord 主よ憐れみ給え」(四つのモテット)
千原英喜「第一の言葉/エピローグ」(十字架上のキリストの最後の言葉)
フォルテでも割れない柔らかい男声は、取り分けバスに力があり、コープランドで安定したハーモニーと豊かな情感を紡ぐ。如何にも泥臭い自由曲も、速いテンポで柔らかくスマートに歌い上げるが、こんな風に何の引っ掛かりも無くレガートにやると、曲の詰まらなさも際立つように思う。
桜の聖母学院高校(女声8名)
指揮/佐川いずみ
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
Javier Busto:Ela!elA!/Alimu!alimu!/Zapata txuriak
モラレスは誠にか細い声で、儚なげな幸薄い演奏。ただ、一応それらしい雰囲気はあったので、ポリフォニーへの理解はあるように思う。自由曲ではもう少し大きな声を出せたが、やはり頼り無い発声は変わらない。それなりに綺麗だが、ちんまり纏まった袖珍版のような演奏で、何れにせよヴォイス・トレーニングは必須と思う。
県立福島明成高校(混声20名)
指揮/菊地和彦
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
Javier Busto:Ametsetan〜Ave Maria
キチンとしたポリフォニーで、ヴィクトリアらしい情感に溢れる演奏だが、もう少しテンポや音量のメリハリは付けて欲しい。自由曲は緩急の切り替えも上手に出来たし、清楚な女声を男声が確り支えて、安定したハーモニーがある。遅い部分からは情感を引き出し、速い曲想は愉し気で、優し気なニュアンスに満ちた演奏からは、指揮者の人柄の滲むように感じられた。
県立福島西高校&県立福島南高校合同(女声15名)
指揮/西村静
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
キャプレ「Gloria」(三声ミサ)
モラレスではダイナミズムの変化で山場を作り、各パートをほぼ均等に聴かせる、ポリフォニーの基本を弁えた生徒の理解度は高い。キャプレも成熟した声で立派な演奏だが、色々と工夫の余地のある曲で、個性的な主張の無いと映えない曲でもある。聴き慣れた曲こそ新たな解釈、新たな発見のある演奏でありたいと思う。
福島東陵高校(女声9名)
指揮/貝瀬幹雄
モラレス「In die tribulationis 我が苦難の日に」
キャプレ「Inscriptions champetres 野の碑文」
少人数ならこの速目のテンポが正解で、人数分以上の声も出ているし、曲のニュアンスも掴んでいるが、ソプラノにスカッと抜ける声の無いので、もっと頭声を意識して取り組んで欲しい。これは古い時代の音楽に限った話では無い。キャプレでもキチンと縦を揃え、速いパッセージは良く処理したが、緩徐部分ではアゴーギグを揺らせる、更に濃厚な表現も欲しい処。可愛らしい声でマジメに遣り過ぎている印象だった。
福島成蹊高校(混声12名)
指揮/遠藤明子
ヴィクトリア「O magnum mysterium 大いなる神秘」
リゲティ「Magany 孤独/Bujdoso お尋ね者」
一人しか居ないバスがちゃんと低音を出し、混声合唱として成立させている。リゲティのマドリガル風の曲は、バルトークへのオマージュだろうか。ピアニシモのロング・トーンを保つ技術力のあるのが凄いし、マジャール語を生かすリズムの扱いも適切で、ジプシー音楽の雰囲気を良く掴んでいる。ただ、指揮者の表現しようとする意図は分かるが、それが演奏に顕れないもどかしさはあった。
県立橘高校(女声36名)
指揮/瓶子美穂子
ピアノ/鈴木あずさ
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「絵師よ」(肖像画・絵師よ)
顧問教諭は交代しても成熟した女性らしい声は健在で、指揮者の対位法的な部分の捌き方も堂に入っている。自由曲も高い技術力で歌いこなすが、高低の音域で音色の変化が無く、音楽の表現は一面的になって終う。頭に血を昇らせ、ひたすらな力押しに終始する単調な演奏で、もっと弱音部の美しさを際立たせる工夫の望まれる。
<決定順位>
1.安積黎明 2.郡山 3.会津 4.橘 5.安積混声 6.郡山東女声 7.喜多方 8.郡女附属 9.会津学鳳女声 10.会津学鳳混声 11.葵 12.福島 13.安積女声 14.福島明成 15.福島東 16.郡山東混声 17.安達東 18.安積男声 19.湯本 20.磐城 21.磐城桜が丘 22.清陵情報
上掲の写真はいわき名所のスパリゾート・ハワイアンズに因み、アロハ・シャツで審査に臨む佐藤正浩さんです。ご協力ありがとうございました。