2012年10月27日(土)9:50/鹿児島市民文化ホール
高松第一高校合唱部(香川県・混声42名)
指揮/大山晃
ピアノ/岡田知子
林光「鳥のように栗鼠のように」(無声慟哭)
三善晃「砂時計/どんぐりのコマ」(五つの童画)
林光は語るように歌う、アゴーギグの動かし方が的確だし、後半のピアニシモでテンポを落としたのも効果的で、テヌートの使い方も巧かった。「砂時計」は作為の無いようでいて、細かい工夫のあるピアニシモから、力尽くで盛り上げたりはせず、柔らかい表現で聴かせる。「どんぐりのコマ」でもピアニシモの使用法は的確で、リタルダントも上手に出来たし、柔らかいアンサンブルで破綻を避け、最後のフォルテシモ一発もキレイに決める。丁寧に作り込んで、身の丈に合った演奏だった。
香川県立坂出高校合唱部(女声41名)
指揮/前田朋紀
ピアノ/高島栄実子
新実徳英「天使」(やさしい魚)
Juhani komulainen:Lova Gud i Himmelshojd
Vytautas Miskinis:Judica me, Deus
新実で軽くアチェルラントしながらルバートする、指揮者の解釈はこれが正解。ピアニシモ主体の中で、強過ぎないフォルテを効果的に使い、デュナーミクの工夫で聴かせる。自由曲にの讃美歌に、祈りの心を感じさせる情感はあるが、指揮者の振り過ぎで、やや音楽を忙しなくした。二曲目は早口言葉みたいな曲で、縦をピタリと揃えるのが気持ち良いし、後半の遅いテンポでは、伸ばす母音に情感を滲ませる。不協和音も美しく鳴らせて締め括り、二曲を見通した組み立ても巧かった。
高知学芸高校コーラス部(混声32名)
指揮/坂本雅代
ハウエルズ「Sing Lullaby 子守唄を歌え」
信長貴富「厄払いの唄」(ねがいごと)
中学生のような男声に、女声も児童合唱っぽい幼い声。ハウエルズで一応デュナーミクは変化するが、完全なイン・テンポのリズム感で、こんな曲はルバートしなければ歌う意味は無いと思う。自由曲でも多少のリタルダントはあるが、アチェルラントは全く無い。表現力を欠く幼い声は、わらべ歌になら合うかも知れないが、この先生のマーチのようなラジオ体操のようなリズム感は、如何なる曲にも合わないと思う。
佐賀女子短大付属高校合唱部(混声27名)
指揮/樋口久子
ピアノ/白鳥佳
新実徳英「天使」(やさしい魚)
Marek Jasinski:Psalm 100
新実には柔らかい声に合わせ、丁寧なドルチェの曲作りはあるが、音色の変化せずやや単調。自由曲は訳の分からないヘンな曲を、一応は咀嚼して構成出来ているが、聴いていて詰まらないのでは致し方も無い。何故、詩篇にこんな曲の付くのか理解不能だが、畳み掛ける前のめりのリズム感があれば、まだ良かったかも知れない。
純心女子高校音楽部(長崎県・混声32名)
指揮/松本佳代子
ピアノ/高橋佳里
瑞慶覧尚子「無門/約束」(約束)
キンキンしない柔らかい声は美しいが、その持ち声に頼り過ぎ。とても綺麗な演奏だが、基本を素っ飛ばしていて、腹筋の支えが足りない。指揮者の振り回す割りに音楽は変化せず、山場は上手に作っても、そこへ至る工夫が足りないし、中間部のフォルテシモが汚いのも、基本の出来ていないから。また、ここまでピアニシモのテンポを遅くするのなら、もっと言葉の意味を突き詰めて考える、デュナーミクは必須と思う。
熊本県立第一高校合唱団(女声51名)
指揮/松本強一
ピアノ/林原ゆり
瑞慶覧尚子「無門(約束)/水面の記憶/立葵/青空(蒼の風景)」
フォルテで柔らかさを保つ、力のある声が素晴らしく、最後のピアニシモも効果的。自由曲でもコセコセした小細工はせず、ひたすら声で聴かせる。ヴォーカリーズとオノマトペだけみたいな自由曲だが、ニュアンスに満ちた“歌”として伝わるもののある演奏だった。
宮崎学園高校女声合唱団(女声32名)
指揮/有川サチ子
ピアノ/馬場沙央里
瑞慶覧尚子「無門」(約束)
西村朗「無声慟哭」(永訣の朝)
課題曲に強力なアルトの支える、柔らかいハーモニーはあるが、母音を押し過ぎる為に流れが澱み、音楽は前へ進まない印象を受ける。西村でもその声楽的能力は抜群で、この人数とは思えない声量があり、余裕を感じさせる演奏。曲の対位法的な処理が上手で、全体を大掴みにした構成感に秀でている。スピントしても柔らかい、声の魅力を存分に発揮してくれた。
宮崎学園高校混声合唱団(混声49名)
指揮/有川サチ子
ピアノ/馬場沙央里
パレストリーナ「Ego sum panis vivus 私は生けるパンである」
高嶋みどり「宇宙」 (宇宙)
パレストリーナはレガートに流れず、所々にパウゼを入れるヘンな歌い方。メリスマの動きも不自然で、何だかギクシャクしたポリフォニーの演奏だった。しかし、フレーズの頭を強く出てスフォルツァンドする歌い方も、日本語ならば違和感は無い。男声の充実して良く鳴るコーラスで、広いダイナミク・レンジを駆使した、振幅の大きな音楽作りがある。中間部の畳み掛けるアチェルラントに迫力があり、一旦緩めてから最後を盛り上げ締め括る、全体の設計も良く出来ていた。
高松第一高校合唱部(香川県・混声42名)
指揮/大山晃
ピアノ/岡田知子
林光「鳥のように栗鼠のように」(無声慟哭)
三善晃「砂時計/どんぐりのコマ」(五つの童画)
林光は語るように歌う、アゴーギグの動かし方が的確だし、後半のピアニシモでテンポを落としたのも効果的で、テヌートの使い方も巧かった。「砂時計」は作為の無いようでいて、細かい工夫のあるピアニシモから、力尽くで盛り上げたりはせず、柔らかい表現で聴かせる。「どんぐりのコマ」でもピアニシモの使用法は的確で、リタルダントも上手に出来たし、柔らかいアンサンブルで破綻を避け、最後のフォルテシモ一発もキレイに決める。丁寧に作り込んで、身の丈に合った演奏だった。
香川県立坂出高校合唱部(女声41名)
指揮/前田朋紀
ピアノ/高島栄実子
新実徳英「天使」(やさしい魚)
Juhani komulainen:Lova Gud i Himmelshojd
Vytautas Miskinis:Judica me, Deus
新実で軽くアチェルラントしながらルバートする、指揮者の解釈はこれが正解。ピアニシモ主体の中で、強過ぎないフォルテを効果的に使い、デュナーミクの工夫で聴かせる。自由曲にの讃美歌に、祈りの心を感じさせる情感はあるが、指揮者の振り過ぎで、やや音楽を忙しなくした。二曲目は早口言葉みたいな曲で、縦をピタリと揃えるのが気持ち良いし、後半の遅いテンポでは、伸ばす母音に情感を滲ませる。不協和音も美しく鳴らせて締め括り、二曲を見通した組み立ても巧かった。
高知学芸高校コーラス部(混声32名)
指揮/坂本雅代
ハウエルズ「Sing Lullaby 子守唄を歌え」
信長貴富「厄払いの唄」(ねがいごと)
中学生のような男声に、女声も児童合唱っぽい幼い声。ハウエルズで一応デュナーミクは変化するが、完全なイン・テンポのリズム感で、こんな曲はルバートしなければ歌う意味は無いと思う。自由曲でも多少のリタルダントはあるが、アチェルラントは全く無い。表現力を欠く幼い声は、わらべ歌になら合うかも知れないが、この先生のマーチのようなラジオ体操のようなリズム感は、如何なる曲にも合わないと思う。
佐賀女子短大付属高校合唱部(混声27名)
指揮/樋口久子
ピアノ/白鳥佳
新実徳英「天使」(やさしい魚)
Marek Jasinski:Psalm 100
新実には柔らかい声に合わせ、丁寧なドルチェの曲作りはあるが、音色の変化せずやや単調。自由曲は訳の分からないヘンな曲を、一応は咀嚼して構成出来ているが、聴いていて詰まらないのでは致し方も無い。何故、詩篇にこんな曲の付くのか理解不能だが、畳み掛ける前のめりのリズム感があれば、まだ良かったかも知れない。
純心女子高校音楽部(長崎県・混声32名)
指揮/松本佳代子
ピアノ/高橋佳里
瑞慶覧尚子「無門/約束」(約束)
キンキンしない柔らかい声は美しいが、その持ち声に頼り過ぎ。とても綺麗な演奏だが、基本を素っ飛ばしていて、腹筋の支えが足りない。指揮者の振り回す割りに音楽は変化せず、山場は上手に作っても、そこへ至る工夫が足りないし、中間部のフォルテシモが汚いのも、基本の出来ていないから。また、ここまでピアニシモのテンポを遅くするのなら、もっと言葉の意味を突き詰めて考える、デュナーミクは必須と思う。
熊本県立第一高校合唱団(女声51名)
指揮/松本強一
ピアノ/林原ゆり
瑞慶覧尚子「無門(約束)/水面の記憶/立葵/青空(蒼の風景)」
フォルテで柔らかさを保つ、力のある声が素晴らしく、最後のピアニシモも効果的。自由曲でもコセコセした小細工はせず、ひたすら声で聴かせる。ヴォーカリーズとオノマトペだけみたいな自由曲だが、ニュアンスに満ちた“歌”として伝わるもののある演奏だった。
宮崎学園高校女声合唱団(女声32名)
指揮/有川サチ子
ピアノ/馬場沙央里
瑞慶覧尚子「無門」(約束)
西村朗「無声慟哭」(永訣の朝)
課題曲に強力なアルトの支える、柔らかいハーモニーはあるが、母音を押し過ぎる為に流れが澱み、音楽は前へ進まない印象を受ける。西村でもその声楽的能力は抜群で、この人数とは思えない声量があり、余裕を感じさせる演奏。曲の対位法的な処理が上手で、全体を大掴みにした構成感に秀でている。スピントしても柔らかい、声の魅力を存分に発揮してくれた。
宮崎学園高校混声合唱団(混声49名)
指揮/有川サチ子
ピアノ/馬場沙央里
パレストリーナ「Ego sum panis vivus 私は生けるパンである」
高嶋みどり「宇宙」 (宇宙)
パレストリーナはレガートに流れず、所々にパウゼを入れるヘンな歌い方。メリスマの動きも不自然で、何だかギクシャクしたポリフォニーの演奏だった。しかし、フレーズの頭を強く出てスフォルツァンドする歌い方も、日本語ならば違和感は無い。男声の充実して良く鳴るコーラスで、広いダイナミク・レンジを駆使した、振幅の大きな音楽作りがある。中間部の畳み掛けるアチェルラントに迫力があり、一旦緩めてから最後を盛り上げ締め括る、全体の設計も良く出来ていた。