2013年10月26日(土)9:50/ふくやまリーデンローズ
茨城県立水戸第二高校コーラス部(女声57名)
指揮/寺門芳子
ピアノ/柏早紀
池辺晋一郎「雨の犬」(この世界のぜんぶ)
鈴木輝昭「妖精の距離」(妖精の距離)
大袈裟なデュナーミクの付け方も、この課題曲ならば正解。だが、池辺には合う太い声も、自由曲の透明感のある曲想とは噛み合わない。所要の効果は得られず、演奏の純度を下げるのみだった。
栃木県立宇都宮中央女子高校合唱部(女声26名)
指揮/吉岡訓子
ピアノ/須永真美
バーバー「The virgin martyrs 乙女殉教者」
信長貴富「君死にたまふことなかれ」
バーバーは美しいが先太りの声の出し方と、これ見よがしなフォルテでの山場の作り方に違和感がある。抑えた美しさを際立たせるべき曲と思うが、ねちこく粘るテンポも鼻に付く。効果の為の効果を狙った、わざとらしい人工臭の紛々とするメカニックな自由曲も、如何にもそれらしく熱演する。最後のフォルテシモでは頭が痛くなった。
埼玉県立松伏高校合唱部(女声32名)
指揮/朝見郁美
バーバー「The virgin martyrs 乙女殉教者」
ミクローシュ・コチャール「Suhogo 風の鳴る音/Sarsokallo 泥はうんざり/
Sea-Wash 波/Bringers 夜の帷」
バーバーは声量で勝負みたいな演奏で、ダイナミク・レンジの広いのには感心するが、それで一体何を表現しようとしているのかは不明のまま。テンポも遅過ぎるので、もう少しテキパキやれば、曲に含まれる情感を出せたかも知れない。自由曲も内容とは無関係に、ただ大声を出す為のダシに曲を使っている。これだけの声の力はあるのだし、テンションの高いピアニシモを使えば、まともに聴かせる演奏も可能な筈だ。指揮者は大声を出させる事しか考えておらず、全く面白くも何とも無かった。
星野高校音楽部(埼玉県・女声107名)
指揮/佐々木憲二
ピアノ/町田百合絵
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「殺生石」(古謠三章)
人数分の深い響きと、広いダイナミク・レンジで、課題曲を魅力的に聴かせてくれる。だが、この自由曲はもっと少人数で、アンサンブルを緻密に作らないと、効果の揚がる曲では無い。百余名の頭数を生かせず、大味で音色の変化も無い、妙にネアカな演奏だった。
千葉県立幕張総合高校合唱団(混声97名)
指揮/山宮篤子
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
ピツェッティ「Cada la sera 夕闇が訪れ(三つの合唱曲)/
Piena sorgeva la luna 月満ちて昇りぬ(二つの合唱曲)」
課題曲は遅目のテンポが間延びし勝ちとなり、思い入れはタップリでも、存外メリハリに乏しい演奏。ピツェッティで曲に即応した表現意欲はあっても、ディヴェルティメント的な楽しさを伝えようとする意図が希薄に感じられる。フォルテシモの音量など大したものだが、構成の分かり難い曲を領略出来ておらず、何となく音にしましたと云う印象しか残らなかった。
共立女子高校音楽部(東京都・女声18名)
指揮/野本立人
ピアノ/吉田慶子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
糀場富美子「種まき人/チョンタルの血の歌」(生命の種まき)
ソット・ヴォーチェのような柔らかい発声は、声に芯の無い感じで、スピントすると平べったくなって終う。遅目のテンポに終始して課題曲には緩急が無く、ずっと同じテンションで推移するので、アチェルラントを使いメリハリを付けて欲しい。自由曲はピアノとコーラスでオスティナートを刻む面白い曲で、リズムをピタリと揃えるのが快感になる。腰の弱さは否めないが、美しく可愛らしい声で精一杯熱演する、児童合唱ぽい声のハマる選曲と演奏だった。
大妻中野高等学校合唱部 (東京都・女声50名)
指揮/宮澤雅子
ピアノ/五反美千代
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
新実徳英「翔ぶ」(失われた時への挽歌)
声に力はあるし、内声的なソプラノに表現力もあるが、如何せん音色の変化が無く、課題曲を面白くは聴かせられない。新実も深い音色のある声自体の魅力はあっても、表現すべき女の情念みたいなものは表面的に留まり、フォルテシモに訴え掛けるものを感じない。ピアノと共に大熱演したが、音色に変化の無いのは、それに対応すべき情感の揺れの無い所為と思う。
日本女子大附属高校コーラスクラブ(神奈川県・女声32名)
指揮/丸山惠子
ピアノ/且田恭美子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「肖像」(譚詩頌五花)
内声的なソプラノが表現力豊かで、クドい程にデュナーミクの起伏をクッキリと付ける濃厚な演奏。この課題曲は恐らく、この位やって正解。自由曲には強力なアルトに支えられた、豊かなハーモニーがある。スピントでフォルテシモを出し切る声の力で、広いダイナミク・レンジを駆使し、この人数とは思えない程に豊饒な音空間を作る。クサいデュナーミクの付け方に、僅かなアゴーギグの動きも効果的だが、何より声の土台作りのシッカリ出来ているのが強味だろう。
清泉女学院高校音楽部 (神奈川県・女声32名)
指揮/佐藤美紀子
ピアノ/中村麻衣子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「レダと白鳥」(イエーツの唄による二つの譚詩)
音色の変化に乏しい上に、テンポを弄る訳でも無い、今ひとつ気合の入らない平凡で特徴の無い演奏からは、課題曲だから歌いましたと云う印象しか残らない。自由曲は例に拠って例の如くの、頭に血を昇らせ突っ走るしかない無内容な新作だが、それでも曲の重心の在り処を突き止め、テンションを緩める部分も探して貰わないと、聴かされる方は全く堪ったものではない。
茨城県立水戸第二高校コーラス部(女声57名)
指揮/寺門芳子
ピアノ/柏早紀
池辺晋一郎「雨の犬」(この世界のぜんぶ)
鈴木輝昭「妖精の距離」(妖精の距離)
大袈裟なデュナーミクの付け方も、この課題曲ならば正解。だが、池辺には合う太い声も、自由曲の透明感のある曲想とは噛み合わない。所要の効果は得られず、演奏の純度を下げるのみだった。
栃木県立宇都宮中央女子高校合唱部(女声26名)
指揮/吉岡訓子
ピアノ/須永真美
バーバー「The virgin martyrs 乙女殉教者」
信長貴富「君死にたまふことなかれ」
バーバーは美しいが先太りの声の出し方と、これ見よがしなフォルテでの山場の作り方に違和感がある。抑えた美しさを際立たせるべき曲と思うが、ねちこく粘るテンポも鼻に付く。効果の為の効果を狙った、わざとらしい人工臭の紛々とするメカニックな自由曲も、如何にもそれらしく熱演する。最後のフォルテシモでは頭が痛くなった。
埼玉県立松伏高校合唱部(女声32名)
指揮/朝見郁美
バーバー「The virgin martyrs 乙女殉教者」
ミクローシュ・コチャール「Suhogo 風の鳴る音/Sarsokallo 泥はうんざり/
Sea-Wash 波/Bringers 夜の帷」
バーバーは声量で勝負みたいな演奏で、ダイナミク・レンジの広いのには感心するが、それで一体何を表現しようとしているのかは不明のまま。テンポも遅過ぎるので、もう少しテキパキやれば、曲に含まれる情感を出せたかも知れない。自由曲も内容とは無関係に、ただ大声を出す為のダシに曲を使っている。これだけの声の力はあるのだし、テンションの高いピアニシモを使えば、まともに聴かせる演奏も可能な筈だ。指揮者は大声を出させる事しか考えておらず、全く面白くも何とも無かった。
星野高校音楽部(埼玉県・女声107名)
指揮/佐々木憲二
ピアノ/町田百合絵
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「殺生石」(古謠三章)
人数分の深い響きと、広いダイナミク・レンジで、課題曲を魅力的に聴かせてくれる。だが、この自由曲はもっと少人数で、アンサンブルを緻密に作らないと、効果の揚がる曲では無い。百余名の頭数を生かせず、大味で音色の変化も無い、妙にネアカな演奏だった。
千葉県立幕張総合高校合唱団(混声97名)
指揮/山宮篤子
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(地球ばんざい)
ピツェッティ「Cada la sera 夕闇が訪れ(三つの合唱曲)/
Piena sorgeva la luna 月満ちて昇りぬ(二つの合唱曲)」
課題曲は遅目のテンポが間延びし勝ちとなり、思い入れはタップリでも、存外メリハリに乏しい演奏。ピツェッティで曲に即応した表現意欲はあっても、ディヴェルティメント的な楽しさを伝えようとする意図が希薄に感じられる。フォルテシモの音量など大したものだが、構成の分かり難い曲を領略出来ておらず、何となく音にしましたと云う印象しか残らなかった。
共立女子高校音楽部(東京都・女声18名)
指揮/野本立人
ピアノ/吉田慶子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
糀場富美子「種まき人/チョンタルの血の歌」(生命の種まき)
ソット・ヴォーチェのような柔らかい発声は、声に芯の無い感じで、スピントすると平べったくなって終う。遅目のテンポに終始して課題曲には緩急が無く、ずっと同じテンションで推移するので、アチェルラントを使いメリハリを付けて欲しい。自由曲はピアノとコーラスでオスティナートを刻む面白い曲で、リズムをピタリと揃えるのが快感になる。腰の弱さは否めないが、美しく可愛らしい声で精一杯熱演する、児童合唱ぽい声のハマる選曲と演奏だった。
大妻中野高等学校合唱部 (東京都・女声50名)
指揮/宮澤雅子
ピアノ/五反美千代
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
新実徳英「翔ぶ」(失われた時への挽歌)
声に力はあるし、内声的なソプラノに表現力もあるが、如何せん音色の変化が無く、課題曲を面白くは聴かせられない。新実も深い音色のある声自体の魅力はあっても、表現すべき女の情念みたいなものは表面的に留まり、フォルテシモに訴え掛けるものを感じない。ピアノと共に大熱演したが、音色に変化の無いのは、それに対応すべき情感の揺れの無い所為と思う。
日本女子大附属高校コーラスクラブ(神奈川県・女声32名)
指揮/丸山惠子
ピアノ/且田恭美子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「肖像」(譚詩頌五花)
内声的なソプラノが表現力豊かで、クドい程にデュナーミクの起伏をクッキリと付ける濃厚な演奏。この課題曲は恐らく、この位やって正解。自由曲には強力なアルトに支えられた、豊かなハーモニーがある。スピントでフォルテシモを出し切る声の力で、広いダイナミク・レンジを駆使し、この人数とは思えない程に豊饒な音空間を作る。クサいデュナーミクの付け方に、僅かなアゴーギグの動きも効果的だが、何より声の土台作りのシッカリ出来ているのが強味だろう。
清泉女学院高校音楽部 (神奈川県・女声32名)
指揮/佐藤美紀子
ピアノ/中村麻衣子
高嶋みどり「きょうの陽に」(明日のりんご)
鈴木輝昭「レダと白鳥」(イエーツの唄による二つの譚詩)
音色の変化に乏しい上に、テンポを弄る訳でも無い、今ひとつ気合の入らない平凡で特徴の無い演奏からは、課題曲だから歌いましたと云う印象しか残らない。自由曲は例に拠って例の如くの、頭に血を昇らせ突っ走るしかない無内容な新作だが、それでも曲の重心の在り処を突き止め、テンションを緩める部分も探して貰わないと、聴かされる方は全く堪ったものではない。