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第63回全日本合唱コンクール東北大会

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2011年9月24日(土)9:30/岩手県民会館

<岩手県>
県立高田高校音楽部(女声30名)
指揮/山崎歌子
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
ニーステッド「Seek ye the lord 汝の神を求めよ」
 マルカートとレガートを使い分ける、フレージングの巧さで聴かせるスヴェーリンク。但し、声に個性的な音色が無く、淡彩で変化に乏しいのは物足りない。でも、この淡い音色が北欧物には合う。やはりマルカートとレガートを組み合わせる、曲の組み立て方も理に適い、不協和なハーモニーを美しく鳴らせた。ただ、全体にテンションの低く、山場の盛り上げ方にはもう一工夫が欲しい。それと声の力の足りないので、フォルテを出す訓練は必要と思う。

県立北上翔南高校音楽部(女声22名)
指揮 /阿部彩子
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
松下耕「Salve regina/Hodie Christus natus est」
 頭声で美しいポリフォニーだが、支えの足りずにピッチまで低目に聴こえるのは、やや問題。淡彩な声に音色の変化が無く、平板になってしまう。自由曲は小じんまりとした演奏に安住しているようで、立体的な音楽作りの為、声を鍛えて欲しい。アルトには声の力のあるのだから、もっと全体のヴォリュームを上げ、音色の変化を工夫すべきと思う。

県立不来方高校音楽部(女声30名)
指揮/村松玲子
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
Herbert Paulmichl:Ave Maria
デュファイ「O beate Sebastiane」
 さすがにベテラン指揮者で、メリスマの軽やかさとアゴーギグの変化も効果的に使えて、マドリガーレの楽しさを充全に表現している。自由曲の一曲目も、デュナーミクの工夫で美しく聴かせる。デュファイは遅目のテンポから、更にリタルダントを仕掛ける独特な解釈だが、これだけ中世の音を美しく響かせてくれれば文句は無い。もっとジックリたっぷりと、この学校の中世音楽の演奏を聴きたい、そんな思いに駆られる。一度、ノートルダム・ミサとかオケゲムのレクイエムとか、本当に聴いてみたいと思う。

盛岡市立高校・岩手女子高校音楽部(女声13名)
指揮/田村久美子
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
バード「Kyrie/Gloria」(三声ミサ)
 声の出し方の真っ直ぐで、平べったい音楽になってしまうので、もっとデュナーミクを工夫しリズムを強調して欲しい。バードは情感に溢れた良いポリフォニーだが、カウンター・テナーの三人いる、アルトのキツそうなのが聴き辛い。シットリと歌う処から、明るく切り替える局面には、もっとクッキリした対比も欲しかった。

県立軽米高校音楽部(女声22名)
指揮/三船桂子
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
信長貴富「春の苑/天の火/山桜花」(万葉恋歌)
 声に力はあるが、テンポの遅いのとレガートに過ぎるので、曲に含まれるリズムを感じ取って表現して欲しい。この自由曲は良く聴かされるが、どうなりとご随意にやって下さいとしか思わない。ここの演奏は、やや切り込みの甘く大人しいが、こんな無機質な曲は思い切りアザトく、効果の為の効果を追求すべきだろう。

県立一関第一高校・附属中学音楽部(混声85名)
指揮/横山泉
松本望「やわらかいいのち」(あなたへ)
Sydney Guillaume:EGO SUM
 課題曲はそれほど面白い曲でもないが、大人数ならではの深いピアニシモのハーモーニが美しく、曲に対して適切な情感があり、勘所を掴んで上手に盛り上げている。自由曲にはその武器である美しいピアニシモを、大いに発揮出来る曲を選んでいる。指揮者と生徒からは、曲への思い入れの深さを窺えるし、局面での美しさは際立っている。ただ、一体何を言いたいのか不得要領な曲で、僕のような凡夫をも納得させるには至らなかった。

県立盛岡第一高校音楽部(混声43名)
指揮/杉本聖房
ヤコブ・ファート「O quam gloriosum est regnum 栄光に輝く王国」
ホルスト「My sweet theart's like Venus」
ジョン・ラター「A choral fanfare」
 課題曲のハーモニーと雰囲気は悪くないが、声の出し方の真っ直ぐで、アルシス・テーシスの出来ていないのと、もう少し低声部を意識して欲しい。ホルストではイギリス音楽らしい、柔らかな情感を醸しているのに好感を持つ。ラターも清潔なリズム感で曲の弱さを感じさせず、ピアニシモも美しいし、フォルテを出し切る声の力にも欠けていない。英語もまあ上手な方と思う。

県立一関第二高校音楽部(女声34名)
指揮/村上博恵
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
信長貴富「春の苑/天の火/山桜花」(万葉恋歌)
 スヴェーリンクのテンポの遅過ぎるのと、声を押すとピッチの低くなる癖は直したい。一日に何度も聴かされ、マジメに聴く気を失わせる自由曲だが、ここは透明な声質で歌うので辛抱し易い。コンクール的には捏ねくり回し方の足りず、この学校の頭声には合わない曲と思う。

県立水沢高校音楽部(混声34名)
指揮/中村桂子
ヤコブ・ファート「O quam gloriosum est regnum 栄光に輝く王国」
Eric Whitacre:Lux Aurumque/With a lily in your hand
 軽やかな声で深刻ぶらない、明るいポリフォニーが楽しい。ウィテカーはソプラノの高音のスピントせず、棒になるのは難だが、五人しかいない男声を上手く纏め、ピアニシモの美しい透明な音楽作り。二曲目では一転し、声の力の足りないのをカヴァーする、アゴーギグの揺らせ方の巧みな、明るく楽しい演奏だった。

<宮城県>
白石高校合唱部(女声14名)
指揮/目黒恵子
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
ラヨシュ・バルドッシュ「Tunde no ta/Ave Maris stella」
バルトーク「Jo sza gige zo」
 スヴェーリンクでは横一列に並び、パートをバラす工夫は効果的だったが、テンポの遅いのと音色の変わらず、やや単調になる。パート内部の統一されず、個々の声の聴こえるのは感心しないが、児童合唱っぽい声はバルドッシュに合っているし、表現意欲みたいなものは伝わり、結構楽しく聴ける。どうせならバルトークでは、もっと破目を外し無茶をして良かったと思うが、ピアニシモのロング・トーンには無理のあるので、もう少し早目に切り上げたかった。

聖ウルスラ学院英智中学高校合唱部(女声29名)
指揮/細川信
スヴェーリンク「Lascia Filli mia cara 愛するフィリスよ」
ミクロシュ・コチャール「Abrand 幻想/O,havas erdo nemasaga 雪の森の静寂」
 マドリガーレにしては分厚いハーモニーだが、指揮者のアゴーギグの付け方の堂に入って、後半に向けアチェルラントする解釈も、個性を打ち出して好ましい。コチャールを遅いテンポで粘りまくるのは、どうやらこの指揮者の持ち味らしく、首尾一貫はしているが、幾ら何でも逸脱し過ぎで、やや閉口させられる。

仙台二華中学・高校音楽部(女声35名)
指揮/水口裕子
小林秀雄「私のいのちは」(五つの心象)
西村朗「薫」(浮舟)
 課題曲で畳み掛けるアチェルラントから、ごくユックリしたテンポで歌わせるのは、そもそも譜面を無視して遣り過ぎだし、緩除部分でテンションを保てずに間延びしてしまう。西村では速いテンポと、ほぼ一定の音量で押し切って、メリハリの無い単調な演奏。技術的に難易度の高い曲をクリアする能力はあるが、この指揮者は何を思って音楽しているのか、僕には理解し難い。

仙台三桜高校音楽部(女声88名)
指揮/内藤淳一
ピアノ/野田久美子
土田豊貴「けれども大地は…」(夢のうちそと)
高嶋みどり「HYMN〜夜の女神ラートリーに捧げる」
 課題曲では大人数の有利を生かす、広いダイナミク・レンジを駆使し、フォルテのアレグロと、ピアニシモのアダージョとの、テンポ設定も理に適っている。高嶋でも低音の充実と、人数分の声の力で、振幅の広い理詰めの音楽作り。ピアニシモとフォルテシモの使い分けに、テンポの緩急を絡ませて、曲の節理に沿った正しい表現がある。多少、金賞至上主義の匂いはするが、有無を言わせぬ圧倒的な迫力のある演奏だった。


<審査員個別順位>
金川明裕(合唱指揮者)
1.不来方 2.安積黎明 3.会津 3.橘 5.仙台三桜 5.鶴岡北 7.一関第一 8.会津学鳳 9.磐城 10.郡山混声 10.福島東 10.仙台二華 13.喜多方 14.郡山女声 14.秋田北 14.聖霊女子

岸信介(合唱指揮者)
1.会津 2.郡山混声 3.安積黎明 3.橘 5.安積混声 5.一関第一 7.郡山東 7.福島東 7.仙台三桜 7.郡山女声 11.不来方 12.会津学鳳 13.盛岡第一 14.安積女声 14.喜多方 14.福島

佐藤正浩(リヨン国立オペラ首席コレペティトゥール)
1.仙台三桜 2.安積黎明 3.会津 3.橘 5.安積混声 6.喜多方 7.郡山混声 8.不来方 9.鶴岡北 10.一関第一 11.八戸東 11.安積女声 13.磐城 13.福島東 15.盛岡第一

本山秀毅(びわ湖ホール声楽アンサンブル専任指揮者)
1.不来方 2.仙台三桜 3.会津 4.橘 5.安積黎明 3.橘 5.安積混声 6.磐城 7.安積混声 8.郡山混声 9.福島東 9.聖霊女子 9.福島 12.郡山東 12.鶴岡南 14.郡山女声 14.喜多方

高嶋みどり(作曲家)
1.仙台三桜 2.会津 2.安積混声 2.喜多方 5.郡山混声 5.会津学鳳 8.鶴岡南 9.橘 10.安積黎明 11.水沢 12.福島 12.八戸東 14.一関第一 15郡山東 15.一関第二

<決定順位>
1.仙台三桜(代表) 2.会津(代表) 3.橘(代表) 3.安積黎明(代表) 5.安積混声(代表) 6.郡山混声 7.不来方(代表) 8.一関第一 9.喜多方 10.福島東 11.磐城 12.会津学鳳 13.鶴岡北 14.郡山女声 15.郡山東 16.福島 17.鶴岡南 17.葵 19.水沢 20.聖霊女子 21.安積女声 22.八戸東 23.聖ウルスラ 24.郡山東 25.盛岡第一 26.山形北 26.秋田北 28.一関第二 29.仙台二華 30.郡山女子大 31.大曲

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